(1) 及び【および】・並びに【ならびに】 and

大勢の法律家が列席したとある結構披露宴でのこと・・・。
ある人が「新郎並びに新婦は…」と祝辞をやりだしたところ、

「新郎並びに新婦ではないっ! 新郎及び新婦が正しいのダ」

という野次が飛び交ったとか。
これは真偽のほどは定かでない笑い話ですが、法律家はこれ位、「及び」と「並びに」を厳格に使い分けています。


「及び」「並びに」は、どちらも並列的接続詞として使われます。「および」「ならびに」とひらがなで書いても同じ意味です。
まず、結合される語が同じ種類だったり、同じレベルのものの場合は「及び」を使い、

A 及び B

となります。たとえば、
リンゴ 及び ミカン

となります。同じ種類の語を2以上並べるときは、「、」でずら〜っと結合して、最後に「及び」をもってきて、
A、B及びC

となります。たとえば、
リンゴミカン及びバナナ

です。3つ以上になると、
A、B、C及びD

リンゴミカンバナナ及びメロン

となります。


つぎに、結合される語の種類(たとえば果物と野菜など)が違っていたり、別のレベルのものの場合は、「並びに」を使い、

(A及びB)並びにC

リンゴ及びミカン)並びにキャベツ

ですね。また、
(A、B及びC)並びに(D及びE)

リンゴミカン及びバナナ)並びに(キャベツ及びニンジン

となります。前のかたまりが「果物グループ」、後ろのかたまりが「野菜グループ」、この2つのかたまりをつなげているのが「並びに」です。


結合される語が3段階以上になる場合は、一番小さな結合に「及び」を使い、それ以上の段階には「並びに」を使い、

(((A及びB)並びにC)並びにD)

となります。たとえば、
(((リンゴ及びミカン)並びにキャベツ)並びにパン

一番小さなかたまりが「果物グループ」で、「果物グループ」とキャベツ(野菜グループ)との連結が第2段階(生鮮食品グループ)、「生鮮食品グループ」とパン(加工食品グループ)との連結が第3段階になっています。
ちなみに、小さな連結を「小並び」、大きな連結を「大並び」といったりします。


英語の「及び」「並びに」は、いずれも「and」です。したがって、英文契約書に「and」が出てきたときは、「及び」なのか「並びに」なのかを的確に読まなくてはいけません。

A and B (A及びB)

A,B and C (A、B及びC)

A,B,C and D (A、B、C及びD)

A and B,and C (A及びB並びにC)

A,B and C,and D (A、B及びC並びにD)

この場合、「* and *」を「及び」と訳し、「,and *」を「並びに」と訳します。